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20170416日(日)00時00分

takumi書痙フォント 完成に至るまで

僕が大学2年生(2014年)の夏から作り続け、完成後もバランス調整を繰り返して、完成させたtakumi書痙フォント(紹介ページはこちら)。
2016年秋に制作にひと区切りつけ、現在ではWebフォントサービス「FontStream」にフォントを提供しているので、Webフォントとしても使えるようになった。
※このページもtakumi書痙フォントで表示しています。表示に時間がかかるかも。読みづらいだろうけど頑張って読んで、許して…(汗

このフォントを完成させるまで、とても時間がかかった。
多くの人から見れば、ただの手書き風フォントに過ぎないのだが、完成に至るまでは多くの苦労があった…。
制作を始めた2014年夏から、制作にひと区切りつけ、Webフォントサービスにフォントを提供するまで至った2016年秋までの顛末をここに綴っておこうと思う。
今後、手書き風フォントや、他のフォントを作る人の参考にでもなれば幸いだ。




■制作開始前■

僕はtakumi書痙フォントを作る前から、何とか自分で手書き風フォントを作りたいと思い、かな部分だけ書いて作ったりしていた。
しかし、作らなきゃいけない字数が多く、途方に暮れ、何度も作ってはやめ、作ってはやめ…していた。(しかももう用はないからと作ったフォントファイルは消していたので、当時のフォントファイルは残っていない…)

その時に使っていたのが、キヤノンの『TypeCraft』というフォント作成ツール。↓
DSC_2647.jpg
マニアックなフォント作成ツールで、あまり誰も知らないと思う…。
基本的には、キヤノンのFontGallery(フォントパック)収録のフォントの外字を作ったりするソフトなんだけど、簡単なTrueTypeフォントも作成できた。
これとペンタブレットを使って、長く三日坊主のフォントを作り続けていたのだ(笑)。
そんなことを2年くらい続けていた。(今考えたら、その間に1つのフォント完成させられるじゃん!)

ちなみにこのTypeCraftは、2007年1月に販売終了している。


■takumi書痙フォント制作開始■
 
本腰入れて『takumi書痙フォント』を作り始めたのは、2014年の夏。
字を書く時にやたら手が震えてしまう書痙持ちの僕が作るんだから、そこに“takumi”を付けて、「takumi書痙フォント」で良いか、とフォントの名前はあっさり決まった。そしてその手の震えを逆に“生かした”という名目を付ければ(言葉は悪いけど)、フォントとしてはそんなに悪くないかなぁと。

紙(原稿用紙などマス目のあるもの)に文字を書いてスキャンしようとも思ったが、それよりかはこれまで通りペンタブを使った方が楽だと思い(今考えたらこれはこれで大変だった…)、全文字種をペンタブで書いて制作することに決めた。

とりあえず、かなと英数字、一部の記号類、小学1年生で習う漢字(80字)だけ揃えて、同年7月9日に最初のバージョンを配布開始した。
だけど最初は、これ以上収録文字を増やすつもりはなかった。

するとフォントフリーさんで紹介され、ちょこちょこダウンロードされるようになった。
収容文字少ないのに、DLしてくれるんだ!とビックリしたけどね(笑)。
そこで自信がついて、収容文字を増やそうと思ったわけだ。


■TTEditのライセンス購入■

ここから先作り続けるとなると、これまで使っていたTypeCraftではもうキツイ状況だった。
このフォント作成ツールの難点が3つあって…

  1. キヤノンからは既に販売もサポートも終了している。
  2. 縦書き用の文字が作れない。
  3. プロポーショナルフォントが作れない。

特に2と3については、マニュアルにも記述がなかった。もともとマニュアルに書いてあったのは、外字作成ソフトとして使う時の作り方ばかりだったからね。
そこで、多くのフリーフォント作者さんが使っている、武蔵システムの『TTEdit』のライセンスを購入した。それに加え、手書き風フォントを作るための、同社の『手書きフォントメーカー』という補助ツールも同時にインストールし、フォントを作る体制を整えた。

そして、「しょうがっこうでならうかんじ・教育漢字一覧」を参考にさせて頂き、教育漢字を作りながら、1学年完成することにアップデートした。
と言っても、駆け足で作ったから、初回公開からたった2週間程度で、教育漢字は完成したんだけどね(だからって楽じゃないよ~)。


■常用・第一水準漢字網羅へ■

そして引き続き、2010年の改定にも対応した、2136字(教育漢字1006字は完成しているので、残り1130字)の常用漢字を作っていく。

…んだけど、ここでひとつ、どうしても考えなきゃいけない問題があった。
それは、「画数の多い漢字をどうするか?」。
というのも、takumi書痙フォントは、もともとWebバナーなど、画面上でも見やすいようにと、太めの丸ペンで作っていた(最初に現在の「太字」を作り、後から「細字」を作成)。それまでは、どんな漢字のどんな画を書く時も、同じ太さの丸ペンを使っていたのだが、小学校で習わない常用漢字には画数がそこそこ多いものもあるため、太いペンで描くとツブれてしまうのだ。

そこで、漢字の画の構成によって、ツブれないようにペンの太さを変えて書いていくことに。
響鬱
↑常用漢字の中でも多くの画で構成されている、「響」「鬱」の字で、太さの違うペンの使い方を練習した。
ペンの太さを変えても違和感がなるべく少なくなるよう、ペンの太さを変える際には、練習しながら以下のようなルールを設けた。

  • 縦画は横画より太くする。
  • 文字の下部の画には、なるべく太いペンを使う。(その方が安定感のある文字に仕上がる)
  • 「日」の中の「一」、「回」の中の「口」など、中の線は外の線より細くする(画数にもよる)。
  • 活字ではなく手書き風フォント(楷書)なので、1画で書ける所は同じ太さのペンを使う。

こういったことを踏まえた上で、常用漢字の制作に入った。(後から教育漢字も一度全部見直して作り直した)
そして、教育漢字制覇から数週間経った8月7日に、第一水準漢字(常用漢字含む)と、第二水準にある常用漢字が完成した。


■第二水準制覇の険しい道■

ここから第二水準漢字の制作に入る。

とはいえ、ここまで完成させてきた第一水準漢字(教育漢字・常用漢字含む)の合計約3000字の文字数をまた作らなきゃいけないのだ。(第二水準も約3000字程度あるんだよ)
しかも、第二水準漢字は画数の多い漢字が非常に多いため、1文字作るのにも手間がかかる。
だから、多くの画が入り組んだ漢字をどうやって書くか、ペンの太さの使い分けをさらに考え直さなきゃいけなかった。

僕は日本漢字能力検定準1級を持っていて、1級に挑戦した経験もあるので、日頃あまり使わない第二水準漢字も、知っているものはいくらかあった。その中で、画数の多い書きづらい漢字を自分の中で探し、またペンの扱いを練習した。
ペンの使い分けが面倒なら、いっそのこと全部細いペンで書いてしまうのも手だったが、太めに作ったこれまでの文字と一緒に組んだ時にアンバランスになってしまうし、そういう妥協はしたくなかった。
二水画数多い漢字
↑第二水準漢字は画数が多い漢字が多いだけでなく、そもそも筆順のわからない漢字も多かった。
筆順を理解していなくても書けないわけじゃないが、字をきれいに書くために、筆順を理解しておくに越したことはないので、筆順がよくわからない漢字については、「漢字の正しい書き順(筆順)」を参考にさせて頂きながら、書き(作り)進めた。

と、簡単に言ってみたが、第二水準漢字って、先述したように馴染みのない漢字が多いので、正直苦痛だった。しかもそれを48~84区まで作らなきゃいけない。ちなみに1区を完成させるには、94文字作らなきゃいけない(84区のみ6文字)。それが48区から84区まである。…いかに大変か、何となくわかるでしょ?(笑)
これ↓が、第二水準の全ての漢字だ。
二水全部
こうして小さい文字で画像にすればこんなものか、と思うかもしれないけど、これを1文字ずつ手書きで作っていくわけだからね…。
もうひたすら、集中力とモチベーションをいかに維持できるか、だった。このフォントを作った時は、僕はまだ大学生で時間がたくさん取れたので、1日最長4時間(1ヶ月辺り約100時間)の時間を取り、ひたすら第二水準網羅に向けて、前を向いて、一文字一文字作るのみだった。夢中で作っていて、思わず徹夜してしまうこともあったし、いわゆる“ゲシュタルト崩壊”を起こしてしまうこともあった。
ましてや、僕は書痙持ち…。整った字を書くのが大変だ。画数の多く書きづらい字は、納得が行くまで何度も書き直した。思うように書けないと、イライラすることもあったよ(苦笑)。

そもそも手書き風フォントは、ゴシック体や明朝体などのフォントとはまた違って、エレメント(文字を構成するパーツ)の使い回しが一切できない。(やろうと思えばできないわけじゃないが、手書き風フォントだし、した方が変だからね)Illustratorなどでベジェ曲線で文字を描いていくのともまた違う大変さのある、手を酷使する作業だ。
これは、集中力が続けば1日で100文字くらい作れた日もあったが、やはり体調が優れなかったり、な~ぜか集中力が続かない日は、1日50文字程度しか作れない日もあった。嫌になって投げ出さないよう、「一切フォントに触れない(作らない)」日も作りながら、コツコツ作り続けた。

全て完成したのが、第一水準完成から約4ヶ月半後の12月20日だった。ここで、長かったフォント制作に、とりあえずピリオドを打ち、しばらく休んだ。


■半年以上経過して…■

第二水準が網羅できたのだから、実用面ではほぼ問題なかった(作者である僕個人の感想)。しかし「髙」(はしごだか)や「﨑」(たちさき、たつさき)など、人名で使用頻度の高い文字が使えないことに我ながら不満を覚えた。
そこで、それらの文字を含むIBM拡張文字まで作って、漢字の制作はこれで本当に終わりにする…と決めた。それを決定したのは、第二水準漢字が完成してから半年以上が経過してから…だった。

第二水準ほどではないが、IBM拡張文字もそこそこ文字数がある。とはいえ、第二水準を完成させた僕には、それほど苦痛でなく、そんなに時間はかからなかった。
そして、初公開から約1年5ヶ月後の2015年12月6日に、かな、英数字、記号類、第一・第二水準漢字、NEC特殊文字、IBM拡張文字を全網羅した、『takumi書痙フォント』が完成した。
(そのことは、窓の杜の記事でも取り上げて頂きました)


■第一水準漢字総修正!?■

とりあえず、全字種が完成したのは良かった。

しかし、僕はこれまで、ペンタブを使って文字を書き、フォント化してきた。実は、ペンタブ自体が使い慣れないものだった。
だけど、教育漢字→常用漢字→第一水準漢字→第二水準漢字と作っていくうちに、徐々に使い慣れていくんだよね。だから、初期に作った第一水準漢字より、第二水準漢字の方がずっと完成度が高かった。先述したように、太さの違うペンの使い分けに慣れていなかった頃に書いた漢字は、ツブれの酷いものも多くあり…。これは、フォントとしてはいかがなものか?となった。ましてや使用頻度の高い第一水準漢字だからね。
ちなみにその、第一水準漢字の完成度の低さに気付いたのは、テレビ東京系で放送されていた教育番組『合格モーニング!』での使用例(こちらにまとめてある)を見た時だった…。この番組の映像編集をしている人から使わせて欲しい、とのことで、僕も許可したんだけど、気付けばあっという間に見捨てられ、他社の手書き風フォントに置き換えられていた…。

そこで、そんな他社の手書き風フォントに負けていられないと、第一水準漢字(16~47区)を総チェックし、きれいに書けていない文字は1から書き(作り)直した。と言っても不慣れな時に作ったために、多くの文字がアンバランスで、結局ほとんどの文字を作り直すことになったんだけどね…。
2016年春、就職活動を始めた僕は、その合間合間に時間を取って修正を行い、2ヶ月くらいかけて、第一水準漢字を全てきれいな文字へと修正することができた。

これでようやく、長かった『takumi書痙フォント』の制作にひと区切りつけることができた。(その後も細かい調整を多少行ってアップデートは続けたけどね)


■そして新たな形で…■

2016年12月に、このtakumi書痙フォントをWebフォントサービス『FontStream』に提供し、Webフォントとしても使えるようになった。漢字80字しか使えないフォントの初公開から2年5ヶ月かけて、ようやくここまで生まれ変わったのだ。takumi書痙フォント制作前(2014年夏以前)からWebフォントは知っていたものの、まさか自分が作ったフォントがそうなるとは思わず…感動した。

酷い誤字などがない限り、もうこのフォントへの大がかりなアップデートは行わないつもりだ。それだったら新しいフォント作るかな(笑)。1つのフォントの、約7000文字に渡る収容文字を自分の手で全て作りきったことに、僕は我ながら大きな感動をしたし、自信が持てた。それが今後も残り続ける、大きな宝となった。




僕に限らず、多くの手書き風フォントや、その他フォントの作者さん達が、同じような思いでフォントを作ってきたことと思う。だから、使う人達も、あなたがDL・インストールしたフォントは、作者がそれだけの苦労をして作ってきた努力の結晶であるということを心の片隅に置いて使ってもらえると、作者としてはとても嬉しい。


かなり長くなったけど、最後まで読んでくれてありがとう。ィヨロシク!!
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